「離れて」
「無理。綾ちゃんには、リビングでもこういうことできるっていうの、覚え込ませないと」
もう今ので十分だ。
智也と二人きりになった時点で危険だということは。
「わかったから部屋行こう」
「リビングがいいんだろ?」
「変更で」
今の彼ではリビングの方が危険な気がする。
「わがまま」
小さく笑った智也は、額を合わせてきた。
落ち着け、自分。
こんなことで照れてはいけない。
わかってはいるけれど、智也には敵わない。
「本当、綾ちゃんって子供みたいな照れ方するんだな」
「ち、ちが……照れてない」
「へぇ。こんなに頬、熱いのに?」
智也の手が私の頬に触れてきた。
熱くなる私の頬とは違い、彼の手は少し冷たくて気持ちよかったけれど、それ以上に恥ずかしくなる。
「智也、勉強教えてあげないからね」
「なら俺が綾ちゃんに勉強教えてやるよ」
「な、何言って…」
「保健の勉強だな」
「……嫌い」
すぐそんなことに繋げる、脳内ピンク男。
軽い誘いに乗るわけない。



