お願い、好きって言わないで。







家に帰り、一度着替えてから智也の家へと向かう。

少し緊張しながらインターフォンを押せば、中から智也が出てきた。


制服姿ではない智也は、やはり大人びている。


「勉強はリビングでするからね」
「は?なんでだよ。部屋のがいいだろ」


ここは譲れない。
部屋に行ってしまえば、智也の好き放題にされると思ったからだ。


「部屋は危険だから無理です」
「へぇ。部屋は危険、ね」


けれど、智也は含みのある笑みを浮かべた。
嫌な予感しかしない。



「ほら、早く始め……」

慌てて話題を勉強に戻そうとしたけれど、残念ながらもう手遅れで。


智也が私の腰に手をまわし、真正面から見つめてきた。


「……っ、離れて」

たったそれだけだというのに、昨日の夜の記憶が一瞬で蘇ってしまう。


「顔、赤いけど」
「リビングが暑いの」

ここは流されてはいけない。
智也のペースになれば終わり。


自分に何度もそう言い聞かる。


「照れるのも早いんだな」

智也が私の頬を撫でる。
明らかに智也の方が優勢。