思わず智也の方を見て、私は言葉を発してしまう。


「どんだけバカなの?あんた…」


そして言い終わった後に、やってしまったと後悔した。
今ここでは教師と生徒の関係なのに。

あいつ呼ばわりしたから、怪しまれるかもしれない。
どうしようかと焦っていたら、急にクラス中が笑いに包まれた。


「あはははっ!先生面白すぎ!」

「やっぱり先生もそんなバレバレの嘘、バカだと思いますよね!」


今時の高校生の笑いのツボがわからないけれど、とりあえず誤解されずに済んで一安心。

何やら私の言葉にウケている様子。


ほっとしていると、ずっと黙っていた智也が口を開いた。


「じゃあ黒崎先生、幼なじみのこと諦めるんで俺と禁断の恋しますか?必ず惚れさせますよ?」


智也がさらっとそう言うものだから、さっきまで笑っていたクラスがいきなり静かになる。