『涼太、ごめん…別れよう』
『…え?綾、いきなりどうした?』
涼太の優しい声。
動揺しておらず、余裕のあるその表情。
『冗談じゃない、別れよう』
『綾、落ち着いて。とりあえず話をしよう?』
落ち着かせるような声音。
あくまで自分のペースに持っていく。
それが涼太のやり方?
『話なんてない!
もう限界なの!』
涙が溢れないように必死でこらえ、立ち上がり部屋から逃げようとした───
はずだったのに。
いきなり視界がぐらりと揺れ、気づけば目の前には涼太がいた。
腕を強引に引かれ、押し倒されたのだ。
『それ、まじで言ってんの?』
涼太の声が一段と低くなる。
まるで今日、男たちと話してた時のような冷たさ。
どうやら夢じゃなかったのだと確信する。
あれは現実なのだと。
そしたら自然と涙が溢れてきた。
『離して!
もう涼太とは無理なの!』
必死で抵抗していると、突然ぐっと胸ぐらを掴まれ、頬にひどく痛みが走った。
そこで平手打ちをされたのだと気づく。
目の前にいるのはもう、私の知ってる涼太ではなかった。



