お願い、好きって言わないで。




「智也、勉強しなくていいの?
油断は禁物だって言ってたじゃん」

「大体勉強してるから大丈夫。過去問も解けるし。ただ毎日遊んでたらダメだって意味だから」

「そういうことか」

真面目な智也のことだ、勉強をサボるわけがない。
昨日までもずっと勉強していたのだろう。


「嘘つきなのは綾ちゃんの方だろ。
仕事してないじゃん」


逆に智也が痛いところをついてくる。

「智也と同じ理由だよ。
親で盛り上がってたから」

「じゃあ俺を見捨ててこっちに来たのか」
「その言い方はずるいなぁ」

苦笑することしかできない。

ただ、今は。
この時間が一生続けばいいと思った。

心地よく、落ち着く。
さっきまでの不安が嘘のようで。

ねぇ、智也が好き。


それを直接言えたらのなら、どれだけ良かったのだろう。

けれど、先生と生徒という肩書きが邪魔をする。

ただ純粋に智也を想うことができたらどれだけ楽だろう。


さらにらあいつとの過去が、いつだって私を縛り続けるんだ。