「ねぇ先生、私のお兄ちゃんは私のことが大好きなの。だから先生と涼太さんをまた会わせることもできるんですよ?
賢い先生ならどういうことか、もちろんわかりますよね?」
最後に私の耳元で、若槻さんははっきりとした口調で話した。
「これ以上、智也くんを好きでもないのに弄んで傷つけないで」
まだ少し、少しだけ。
教師としてのプライドがあった私は、震える体を抑えて笑顔を取り繕う。
「若槻さん、私は生徒に手を出したりしない。
あなたの方こそ、こんなことしないで正々堂々と中谷くんに振り向いてもらえばいいじゃないかな」
そう言って私は教室を出ようとしたけれど、最後にもう一度叫ばれた。
「智也くんの中に先生がいる限り無理だよ!
早く消えてください、先生……」
それを無視して、今度こそ教室を出る。



