きっと、今ので智也は察してくれたのだろう。
私が過去に何かがあったって。
けれど、深くは聞かない。
私が話すまで待ってくれる、と。
「あー、しばらくはお預けか」
「高校生の言葉じゃないよ」
私も起き上がると、智也は冗談っぽい口調で話し出した。
「せっかく抱けると思ったのに」
「少しは我慢を覚えないとね。だからといって他の女のところに行かないでよ」
女遊びをしていたということは、つまりそれなりのツールがあるのだ。
「行かねぇよ。目の前の女がやっと俺のことを見てくれたのに。もう遊びはやめた」
「それを信じたいけどね」
「なら、信じてもらえるように頑張らねぇとな」
互いに目を合わせ、笑い合う。
今はまだ言えないけれど、いつか決心がついたら智也に話したいと思った。