「わがままな女」
「女慣れしてるんなら、わがままな女の扱いも知ってるでしょ?」
「綾ちゃんは俺の好きな女だからな、わがままなやつよりハードルが高い」
頬を優しく撫でる智也。
やっぱりどこかいやらしい手つき。
けれど、智也だからいいと思ってしまう私も私。
「綾ちゃん」
智也が私の名前を呼んだかと思うと、唇をそっと重ね合わせ、キスしてきた。
優しいキス。
こんなものじゃ物足りない。
そんな私の気持ちが伝わったのか、キスが深くなった。
きつく塞いできて、息ができない。
そうやって彼は、私の口を開こうとしてくるのだ。
口を開けば舌を絡められる、大人のキスが待ち受けている。
前までの私は、そんなことをさせまいと思っていたけれど、今の私は逆にそれを欲しがっていた。
素直に口を開き、求める。
先程よりもずっと深くて甘いキスを。



