「はいはい、恋人設定な」
「うん、じゃあ次はもっと私を甘やかして」
「もっと?」
「智也に甘やかされたい」
大人になってから、物理的に甘やかされたりする機会なんてあまりない。
本来、年上になら甘えられるものだろうけれど。
今なら智也にも甘えられる気がした。
すると智也は言葉通り私を抱きしめながら、頭を撫でたりぽんとしてくれたりと甘やかしてくれる。
だから私も気にせず、今度は自分からも智也に抱きついた。
まるで抱き枕かのように。
「珍しいな。これも制服効果?」
「うん、そういうことで」
何でもかんでも制服のせいにするのはおかしいけれど、そうでもしないと後になって恥ずかしくなるだけ。
穏やかな時間が二人の間に流れる。
静かで、けれど温かな時間。



