「綾ちゃん、やっぱ小さい。昔は年上で逞しく見えたけど、四年経てばこんなにも変わるんだな」

「何、今は逞しくないみたいな言い方」
「なんか今は危なっかしい。守ってやりたくなる」

「私が智也を守る側でしょ?
それに、智也が四年で一気に成長しただけ」


男の成長は恐ろしい。
身長も、体つきも、見ないうちにぐんと変わるのだ。


「俺を守るって……先に自分で自分を守れてから言えよな」
「守れるもんね」

「俺に好き勝手やられても、同じこと言える?」
「……何も力だけが全てじゃない」


立場的には教師が生徒を守る、これが基本だ。

「恋人としては俺が綾ちゃんを守る側だな」
「恋人“設定”だけどね」

「細かいな」
「そこが重要だよ」


設定という言葉が、私の罪悪感をかき消してくれる。