お願い、好きって言わないで。




「いや?普通に着てほしいなって思って」
「……変態。智也にはそういう趣味が」


「ねぇよ。今日の綾ちゃん見て、本当に高校生らしかったからさ。いつもは感じる年の差も、感じなかったから個人的に良かっただけ」


「……年の差、やっぱり感じる?」
「綾ちゃんがたまに遠く感じる」

私の知らない智也の本音。
そんな風に思っていたんだ、と。

それなら今日くらいは着てあげてもいいかな、なんて思ったり思わなかったり。


「じゃ、じゃあ智也も着る?」
「は?」

「智也も制服着るなら、今日だけは若返ってあげてもいいけど……今日だけだからね!?こんなイタイこと、絶対もうしないから!」

「ん、さんきゅ。
ちゃんと写真に収めとかねぇと」

「やっぱり着ません」
「嘘だって」


智也の冗談は冗談に聞こえない。
けれど、約束したからちゃんと制服は着てあげた。

これで恐らく最後であろう、青春時代に着ていた制服。