俺の恋人曰く、幸せな家庭は優しさと思いやりでできている「下」

話し合いが終わると、俺とレムも自然と帰ることになった。

凶悪事件を追う刑事たちがせわしなく行ったり来たりする廊下を、俺とレムは少し早足で歩いた。のんびり歩いていては刑事たちの邪魔になる。

「でも、これでクリスタルさんを助けられるな!」

レムが俺に笑いかける。俺も「ああ、そうだな」と頷いた。しかし、気を緩めてはいけない。

相手はあのジャックだ。クリスタルに何があるかわからない。慎重かつ迅速に対応しなければ、最悪の事態にもなりかねない。

俺はぎゅっと握りこぶしを作り、力いっぱい握る。不安な思いは消えてしまえばいい。

クリスタル、もうすぐで自由になるからな。

俺は心の中で呟いた。



私が誘拐されて、どのくらい経ったんだろう。少なくとも二週間以上は経っているはず。

監禁されている部屋には何もないため、私は無機質な部屋を見て時間が流れていくのをただじっと待っているしかない。

誘拐される前は、時間なんてあっという間に過ぎていったのに…。退屈だと思ったことなんて、一度もないのに…。