俺の恋人曰く、幸せな家庭は優しさと思いやりでできている「下」

「なるほど、そういう訳が……」

刑事たちは納得し、いつクリスタルを救出するかをまた話し出す。真面目にそれを聞いている俺の腕を、レムが軽く引っ張った。

「何だ?トイレならこの部屋を出てすぐにあるぞ」

「違うって!ただ、ちょっと思ったことがあってさ〜」

「何だ?」

「相手はあのジャック・グラス。世界を争いの連鎖に突き落とし続けた大罪人。そんな男が一筋縄ではいかないような気がするんだ」

たしかに、レムの言う通りだろう。刑事たちもレムの方を見ているしな。

ジャックは、対策本部にいた時は協力者に犯行を行わせていた。情報収集も協力者を使っていたしな…。わざわざクリスタル一人を監禁するのに、だだっ広い城を選んだことも引っかかる。

「何か罠を仕掛けたりするんじゃないだろうか…」

俺のひとり言に、刑事たちは「ありえるな!」と頷いた。

そして、ジャックがどんな罠を仕掛けるかわからないので、突入班の服を新しくするという話になり、話し合いは一旦終わった。