俺の恋人曰く、幸せな家庭は優しさと思いやりでできている「下」




ドリス国の東にある村は、俺がロビンたちと一緒にひまわりを見に行った場所に似ている。

「……ここにクリスタルが……」

俺は、駅を降りると辺りを見渡す。緑が広がる大地。俺が暮らしている場所とは全く景色が違う。

「行こうぜ」

俺の肩をレムが叩く。そして、俺に力強く微笑んだ。

「辻馬車を使おう」

ロビンが馬車を指差し、俺たち三人は馬車の中に乗り込む。

俺たち三人は、クリスタルがジャックに誘拐されるまで暮らしていたと思われる家に向かっている。アレックスたちも一緒に来てほしかったのだが、それぞれ事情を抱えながらドリス国に来てもらったのだ。遠出はできない。

小町は妊娠していて、アレックスは小町のそばにいてやりたいと言っていた。リーは小町に何かあった時のために残ってもらうことになった。フローレンスとイワンは、幼い娘がいる。

「ごめん!せっかくドリス国に来たのに…」

そう言うアレックスに、俺は「来てくれたというだけで、俺はとても助かっている。ありがとう」と言って列車に乗った。