俺の恋人曰く、幸せな家庭は優しさと思いやりでできている「下」

二人の薬指には、銀色に輝く指輪。大切な人がいる証。俺たちが結ばれた証。

「私も、愛してる」

そう言って笑ったクリスタルは、見とれてしまうほど美しい。俺の妻は、いつまでも美しいのだろう。

これから始まる「家族」としての始まりに、俺は胸を高鳴らせた。



結婚から十年後ーーー。俺の家は、とても賑やかで慌ただしい。

「忘れ物はないか?もう一度確認しろ!船に乗ったら、もう取りには戻れないぞ!」

俺はクリスタルたちにそう言って、自分の荷物を開ける。着替えに、財布に、チケット…よし、大丈夫そうだ。

これから、俺たちは豪華客船での旅行に出かける。俺たちだけでなく、リーやフローレンスたちも行くと言っていた。

俺は、クリスタルと理想の家族になれている。五人の子どもに恵まれ、毎日が賑やかで忙しい。俺の家族を紹介しよう。

「お父さん、荷物の確認が終わったよ。手伝うことはある?」

そう訊ねる十一歳のバロンは、しっかり者の第一子だ。面倒見がよく家の手伝いも進んでしてくれる。

俺は、「グリシャたちのを手伝ってやってくれ」とバロンに言った。