俺の恋人曰く、幸せな家庭は優しさと思いやりでできている「下」

クリスタルの弟や妹であるエリザベス様たちは、王族という立場から見舞いで病院に簡単には来れない。代わりに、三人からの手紙を持った召使いがやって来た。手紙の内容は、三人ともクリスタルを心配するものだった。

フィリップ王子も、お忍びで見舞いに来た。

「ああ…!私の愛しい人よ!こんな風になってしまわれて…!」

王子がやって来たのは非常識にも夜中。他の患者に迷惑だとリーを代表に追い出されていた。

そしてーーー。

「……クリスタル」

修道女の服を着たアリーチェさんが、泣きながらクリスタルの髪を撫でる。アリーチェさんは、クリスタルの生みの親。心配するのは当たり前だ。

「申し訳ありませんでした!俺が…俺がいながら、こんなことになってしまって…!」

俺は、アリーチェさんに頭を下げる。この言葉は、クリスタルを見舞いに来てくれた人に必ず言っている言葉だ。(フィリップ王子には言っていないが)

警察官という立場でいながら、クリスタルを危険な目に合わせてしまっている。大切な人すら守れない。悔しさしか胸にはない。