俺の恋人曰く、幸せな家庭は優しさと思いやりでできている「下」

ジャックに攫われて、どれほど怖い思いをしただろう。手首には、手錠で擦れてできた傷が痛々しくある。

クリスタルの体は、驚くほど痩せていた。とても辛かっただろう。

それなのに、銃で撃たれてしまった。俺を庇ったせいで。痛かっただろう。苦しかっただろう。

俺にできることは、クリスタルが目覚めた時に安心させてやることだ。温もりを与えて、クリスタルを悪夢から救うことだ。

それだけが、今の俺にできることなのだから…!

「……それなら、僕もクリスタルくんのそばにいるよ」

イワンが俺の肩に手を置く。

「僕らは、世界平和対策本部の仲間だよ。目の前で困っている仲間がいたら手を差し伸べたい。全ての人は救えないかもしれないけど、希望がある限り諦めたくないんだ!」

「そうですわね。諦めてはいけませんわ!」

フローレンスが優しい微笑みを見せた。

「私は歌うことしかできませんわ。でも今回は……たった一人のために歌えますの。クリスタルのためだけに、歌いますわ」