俺の恋人曰く、幸せな家庭は優しさと思いやりでできている「下」

みんなの顔は、とても心配そうな顔だ。無理もない。レムから「クリスタルを救出しました」という幸せな知らせの後に、「クリスタルが撃たれました」なんて悪い知らせを聞かされたのだから。

「クリスタル、みんなが来てくれたぞ？」

もしも怪我などで入院しているだけなら、クリスタルは病室が開いた瞬間に、「やっほ〜！入院しちゃった〜」と無邪気に笑うのだろう。しかし今は、俺たちに何も言ってくれない。

「クリスタルは、大丈夫ですの？」

今にも泣きそうな表情で、フローレンスが訊ねる。俺はリーが言っていた言葉を、何も包まずそのまま話した。

話していくうちに、みんなの表情がさらに固くなっていくのがわかった。小町は顔を手で覆い静かに泣き始める。

「俺はクリスタルのそばにずっといる。これが俺にしてやれる精一杯のことなんだ」

俺はそっとクリスタルの髪を撫でる。俺の体は、クリスタルの感触を全て覚えていた。クリスタルに触れるだけで、少しだけ落ち着く心がある。