俺の恋人曰く、幸せな家庭は優しさと思いやりでできている「下」

「手術は無事に終わったヨ。ただ、クリスタルがいつ目覚めるのかはわからないネ。容体も急変するかもしれないしネ…」

手術を終えた時、リーは俺に真面目な顔で言った。その時に、やっぱりリーは医者なのだとわかる。

リーは今は仮眠を取っている。病室には俺一人だ。

多くの新聞記者たちが病院を取り囲んでいるらしいが、そんな喧騒も俺の耳には届かない。クリスタル以外の声をまるで体全体が受け付けないようだ。

クリスタルは穏やかな表情で眠っている。一体、どんな夢を見ているのだろう…。

「……クリスタル」

俺は、クリスタルのおでこにそっとキスをする。懐かしい感触があった。

「クリスタル!!」

病室のドアが勢いよく開く。ゆっくり振り向くと、真っ青な顔をしたアレックスたちがいた。

「クリスタル!お前……やっと会えたのに……!こんな……こんな形で……」

アレックスが動揺した様子で、眠り続けるクリスタルに近づく。小町やフローレンス、イワンもそばにやって来た。