俺の恋人曰く、幸せな家庭は優しさと思いやりでできている「下」

「……ごめん」

静かな廊下に、ロビンの呟きが消えた。俺とレムは、ゆっくりとロビンを見る。

「……ごめん」

そう言うロビンの体は震え、目からは今にも涙がこぼれ落ちてしまいそうだ。

「私、あんたを奪うつもりでクリスタルを傷つけたんだ。私にあんたをもう想う資格はない。……ほんとにごめん」

ロビンは俺の目を見た後、ゆっくりと深く頭を下げる。

「……もういいんだ……。気にしていない」

俺はそう答えると、手術室の前に置かれているソファに腰掛けた。

こんなに長い夜は、久しぶりだ。



ジャック・グラスが逮捕されたというニュースが報じられたと同時に、クリスタルが誘拐されていたことや、ジャックに瀕死の大怪我を負わされたことが世界中に知られてしまった。

夜明けにようやくクリスタルの手術は終わった。日がすっかり登った今、俺は病室でクリスタルの手を握っている。女性にしては大きめのそれでいて白くて華奢な手を……。