俺の恋人曰く、幸せな家庭は優しさと思いやりでできている「下」

手術には、リーも加わっている。リーがいるならきっと手術は成功するはずだ。そうソファに座りながら、何度も何度も考えた。

一度マイナスなことを考えてしまうと、ズルズル進んで戻れない。そんなことばかり考えていたら、クリスタルは目を覚まさない。プラスに考えなければ…。

「……リーバス」

クリスタルの手術が終わるのを待つ俺に、いつからいたのかロビンとレムが声をかける。俺は「……来てくれたのか」と掠れた声で言うしかできない。今は、作り笑いですらできない。

手術室のランプは、赤く灯ったまま。手術中を示す合図。

いつになれば消えるのだろうか。クリスタルの手術は難しいのか。不安で胸が張り裂けそうになる。

それと同時に、俺自身がこんなにもクリスタルを愛していたのだと気付かされる。こんなに愛しい人には、今までもこれからもずっと出会うことはないだろう。

それほどに、クリスタルは特別で大切な人だ。だからこそ、失うわけにはいかない。リーが九十九パーセント助からないと言ったとしても、助かる確率が一パーセントでもあるのなら、俺はその一パーセントに全てを賭ける。