僕らの旅は終わった。

学校の先生や母親、友達。散々怒鳴られ、叱られた。当たり前だ。
ただ1つだけ確かな事がある。僕はこの旅をしてよかった。僕はこの旅の中で過ごした時間が、今までの人生でいちばん、いや、これからの人生でもきっと最高だった。
人間として在ることが出来たのだ。
でもそんな時間は長く続かない。
続かない事を知ってしまったのだ。

僕は人間として生きる為に、歪で機械的な自分を捨てる為に逃避行していたはずであった。

人の形であるのに、人ではない。

正に僕の事であり、否定出来ない事実。
僕は家と反対方向に歩き出した。誰の手も届かない場所。それは___


人間でなくなってしまった、彼女の場所へ。