A long time ago...

There was a princess who lived happily without inconvenience.

『外の世界を観ておいで』

初めて お姫様は
自由とそして
ほんとの孤独を知りました

ボロボロのドレスで
泣きながら
つまずきながら
歩いていると
1人の若者が
手を差しのべてくれました
『大丈夫ですよ』と…

お姫様は その暖かな手を
離すことが できませんでした

なぜならば
今までに感じたことのない
優しさを 見つけてしまったからです

若者は お姫様に寄り添い
太陽のように
南風のように
その目が 曇らないように
傷を癒してくれました

お姫様は お城に戻り
なに不自由のない
毎日を過ごしました

空を見上げるたび
なぜか 若者と過ごした時を
思い出すのです

優しい微笑みも
繋いだ手の ぬくもりも

お城のどこを探しても
見つかりません

お姫様は 助けてもらったときに
用意してくれた
粗末なドレスを着て
お城を抜け出し
記憶をたどって
若者の元へと 駆け出しました

飛び出したものの
お姫様に 分かるはずもなく
気づけば
行く道を照らしてくれていた
太陽も傾き
拐おうとでもするかのように
辺りは 暗くなりはじめました

歩き疲れて とうとう森の手前で
足が 止まってしまいました
涙も頬を つたいます

その時でした

『大丈夫ですよ』

教会の鐘よりも 素敵な
待ち焦がれた 優しい声です

差し出された 手を 力一杯
握りしめました

引き上げられた その腕を引き寄せ
若者を 抱きしめ

『会いたかった..』

声にならない 声で 呟きました

驚きながらも 若者は 腕に
すべての想いと優しさを 込めて
包み込みました

どんな 美しいドレスよりも
どんな シェフの料理よりも

彼が 似合うかなと
選んでくれたドレスが

こんなものしかつくれないと
頭をかきながら 作ってくれた
料理とも言えない 料理が

離れて ようやく ..

柔らかな草の上に寝転びながら
してくれた 世界の話も

髪を揺らす 風を感じながら
見上げた 夜空も

子守唄がわりに
眠りにつく前に
語ってくれた夢の話も

どれもこれも
それが あなただったから

どこまでも優しい
どこまでも まっすぐな..

お姫様は 初めてほんとの愛を
知りました


THE END💕