「結婚しよう。コレお前にだから」
そういった彼の手にはジュエリーショップの指輪。
どういうこと?
いや、指輪じゃなくって。
「けっこん…?」
聞き間違い?
幻聴?
流れのどこにそんな予兆があった?
「お前が見たのはコレ買ってるとこ。一緒にいたのはあの店の店長。しかも俺のおばさん」
「おば…え?」
「母さんの妹」
は?
なにその漫画でよくあるパターン。
お姉さんを彼女と勘違いしてゴタゴタするやつじゃん。
「手繋いでた」
「こけそうになったおばさんを支えただけ」
「愛しそうに笑ってた」
「それはわかんねぇけど、あん時こけそうになったの見て、お前思い出して笑った」
え?
なにそれ
あたしの勘違い?
全部?
「で?お前まだ言いたいことあんの?」
「…ない」
「今俺プロポーズしたんだけど」
「…うん」
「返事は?」
そんなの決まってる。
あたしには結局いつだって拒否権なんてものはない。
彼に全てを左右される運命だから。
「お願いします‼︎」
5秒なんて縛りはいらない。
あなたの隣に居続けられることがあたしの幸せ。


