行きつけのカフェで君を見かけた。
とびきり美人で一目惚れをした。


名前を聞こうとしたけど、タイミングが掴めなくて聞けないでいた。

そんなある時、彼女が大切なものをテーブルの下に落として気づかぬまま帰っていった。


ｰｰｰｰｰｰ身分証明書。



僕はチャンスだと思った。ついでに届けてやろうとテーブルの下にかがみ込んでそれを拾った。

そして目を疑った。

『名前：大澤里奈
生年月日：2001年2月7日
学校名：私立大葉高等学校
校長名：南貴洋』


彼女が落として行った身分証明書は私立大葉高校の生徒手帳だった。



とても大人っぽくて、僕は20代だと勝手に思っていた。いや、20代に一目惚れするだけでも僕は充分変なんだけど。


もう今年で41歳になる。
そんな僕に名前を聞かれたところで、「なんだコイツ」と思われるに違いない。
ましてやアプローチなんて門払いだろう。



僕は迷った末に生徒手帳を、私立大葉高校に届けに行くことにした。