それが例え、偽りだとしても






もう、終わるべきなんだ。


これで晴れて、二人は両思いになったのだから。



あとは、私がこの関係に終止符を打つだけ。






「だからね、勇気を貰いたくて」



近所の喫茶店に呼び出した男性……和樹さん
は複雑そうな顔をしている。

そりゃそうだ。

いきなり呼び出されて、

その理由が……偽りとはいえ、恋人と別れる勇気が欲しいから。なんて複雑以外の何物でもない。


けれど、相談するならこの人しかいなかった。

和樹さんは哲のクラスメイトであり、親友で。真緒のことも少なからず知っているし、


何より、この人は正直だから



「勇気?もう必要ねぇだろ。

だってお前は、そのまま……真緒の言葉なんて聞かなかったことにして、5マイクロメートルの細い糸に賭けて《もしかしたら》を願うことが出来る。

だけど、お前は決めたんだろ。その糸を切って、哲の幸せを願うって。

知ってるか? 蜘蛛の糸って、あんなほっそい割に強度半端ねぇらしいぞ。そんな糸を切れるなんてさお前、最強じゃねぇか」