「めだか~~ めだか~~~~ 金魚にコイの子~~~」


熊本の片田舎、まさおはめだか売りをしていた。
といっても他に金魚やコイの稚魚も扱う。最初は恥ずかしかった声出しも今は慣れたもので、
天秤棒を担いだまさおの横を子どもたちが駆けていく。


紺の法被に赤と黒で描かれた金魚、被り笠をしたまさおが家々の連なる路地を歩けば、向こうの軒先から奥さんが手招きしている。
タライの中の商売道具が酸欠にならぬよう、まさおは上手に揺らしながら歩みを進めた。