百合は自分の事をあまり話さない。


旦那とどうやって出会い、結ばれたのか。

どこで生まれてどこの出身校なのか。


子供がいないのと、誕生日と血液型は聞けた。



全てを教えろってわけじゃないけど、……もしかして人妻って秘密が多い?





百合は料理が終わるとベットにもたれかかり、雑誌を読んでいた。


「百合、その雑誌そんなに楽しい?
さっきから顔がニヤけてる。」



枢が温かい紅茶を2人分持って机に置き、百合の隣に座る。


「あっ、ありがとう枢。」


枢が百合の見てるページを横から覗く。



「ちょっ、お前そんなもん買ってくんなよ……。」


「だって、表紙に枢の名前見つけちゃったんだもん。」



笑顔の百合から枢が雑誌を奪う。



「かっこいいからいいじゃん!
……ケチー。」


「ケチ?
そんな事を言うのはこの口か?」



枢が百合のほっぺたをつまみ冷たい視線を送る。


「ははっ…変な顔。」


枢の指が百合から放れた。



「枢くんの顔だって変にできるよ?」


「しなくていい。」



たくらみを帯びた笑顔で百合が枢に仕返しをしようとする。

枢が笑いながら暴れる百合の両手の手首を握り力でおさえた。



「ごめん、ごめんって。」



掴んだ両手首をベットに当て押さえつけて百合の自由を奪う。

枢の顔がグッと百合に近づき、瞬間的に男の色気を出す。



「百合は可愛いよ。」



百合の唇を見つめ、ゆっくりと重ねた。