それに比べ俺はどうだ。

俺は資料に目を落とし、大きな溜息をついた。

会社が悪い、と思う歳では無い。自分が教育店舗から巣立つことが出来ないのは、自分が悪い。ただ少しだけ、不器用なのだ。俺は自分にそう言い聞かせるが、容赦の無い奴らが周りから大声を張り上げる。
 
やめちまえよ、お前なんか。やったっていつまでも上手くならないし、無駄無駄!
 
もちろん、直接そう言われたわけでは無い。そんなことを直接、それももしアルバイトやパートタイマーで働く人々ににやにやと言われたら、俺はその横面を叩き倒しているだろう。

良かったな、俺の耳に届かない声で、お前らは喋っていて。

しかし噂とは何処からかやってくるもので、俺は俺の噂を知っていた。