佐藤くんはゆるい

私が何も喋らず二人の間には沈黙が続く。


「なに?手、離されたく無かった?」


「っ…」


「もしかして、図星?」


「…」

私は言葉が出てこなかった。そうだよ。

佐藤くんは人気者だから…こんな私に関わらな

いから、いっときの感情で浮かれていただけ。

嬉しかっただけ。

私は自分にそう言い聞かせた。

また、沈黙が続く。佐藤くんはまるで私の返事

を待つようにずっとこっちを見てニコニコして

いる。