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「 招待状の手配は済んでる? 」


「 はい。使いの者を出したのでもう届いているかと… 」




返事を聞き満足そうに笑みを浮かべたのは

時が経ち18になったレイだ。

背は高くなり、程よくついた筋肉と少し焼けた肌により

少女と間違われることもないだろう

幼い頃から変わらないのは

その瞳の柔らかさと漆黒の髪だけだ。

見目麗しい王太子の妃に、と

近隣国や年頃の娘がいる貴族達からの縁談は、

絶えず申し込まれているが本人はどれも興味を示さない。



レイはあの夜出会った少女に想いを馳せた

あれから社交の場では

少女のことを探してみたものの

もう一度会うことは出来なかった

というのも、彼女の父が

酷く娘を溺愛しているという噂があり

少女から大人に成長していくのを見て

社交界に出せなくなっていったのだろう。


そのおかげか彼女はまだ求婚の話が出ていない

レイにとっては都合が良かった。