「食わせてやるから、食べたら邪魔せずに寝ろ。わかったな⁈」

「猫にわかるわけがないのに」

言い聞かせようとしている高橋さんがおかしくて、再び苦笑し、言わずにいられななかった。

そんな私の言葉に彼が苦々しい顔をして見ている間に、我慢できなかったそらくんは、彼の隙をついておやつを持つ彼の腕に捕まり、必死になって奪おうとし始めた。

「おい、こら、やめろ…ッ、」

案の定、そらくんの爪にやられた彼の手の甲は爪痕で赤くなってる。

「高橋さん…大丈夫?…そらくん、こっちおいで」

慌てて近寄り、そらくんを抱き上げて別の包みを開けおやつをそらくんの口の中に入れてあげれば、ご満悦顔のそらくん。

そんなそらくんに、高橋さんは睨みをきかて手の甲にフーフーと息を吹きかけていた。

自業自得とばかり、私は高橋さんに苦言を言う。

「意地悪しないですぐにあげないからだよ」

「チッ、…そら、食べたんだから、どうするかわかってるよな?これもほしいなら言う事を聞けよ。わかったな」

彼は手の中に持っていたおやつを摘んでそらくんの口元で止め、必死に首を伸ばしておやつを取ろうとするそらくんを焦らしてまた言いきかせようとしている。