毎日届く注文を事務員数人で何千という住所をパソコンに打ち込み、住所を配達表に印刷する工程まで行い、配達表と発注書をクリップで留め、倉庫で作業する従業員に振り分けるまでが作業だ。

同じ作業を仲間で次から次とくる注文に黙々と取り組んでいるのだが、その日の私は、仕事中も休憩中もそわそわと落ち着かず、同僚から落ち着けと注意される始末。

それでも、今日の自分なりのノルマをクリアして就業時間終了のサイレンが鳴ると同時に、お先に失礼しますと早足で会社を出た。

途中、隣の工場で作業を終えた親世代の従業員の方たちとすれ違うが、挨拶もそこそこにして帰った為、私に、次の日の朝早々にデートだったのかいと揶揄われるほどそわそわしてそらくんが気になって仕方なかった。

急いで帰った私は、まさかそこにそらくんがいるとは思ってもいずに勢いよく玄関のドアを開けてしまった。あっ、と思ったが玄関マットの上で背を向け丸まってなに?って感じで顔だけで振り返る顔に胸をなでおろす。

自分の不注意で外に逃げ出していたかもしれないと思うと、迂闊な自分を反省し、すぐにドアを閉めてからしゃがんで声をかけた。

『そらくんただいま、1人で大丈夫だった?』