キャリーの中から顔だけを出して辺りを見回し、そしてまた中に引き込むことを繰り返すそらくんに警戒されているが、夜も更けてくると私の方は欠伸が出てくる。

次の日も仕事の為、夜更かしするほど元気はなく、『そらくん、ごめんね』と心の中で謝り、そらくん用に用意したモフモフのベットをケースの前に置いて、不安がらないように小さな明かりを残し寝室のドアを開け就寝。

それでも、気になってなかなか寝付けなかったはずが、いつの間にか寝込んでいたらしく顔のくすぐったさに目を覚ました。

目の前で、背を向けもぞもぞと尻尾を動かし寝床を作ったそらくんは、顔だけ布団の中に隠し丸まる。

隠れたつもりなのだろうが、全然隠れていない姿に、出そうになる笑い声を手で塞ぎ、含み笑いをした。

かわいい…かわいすぎると悶えたのを覚えている。

そのまま、仲良く一緒に寝ていたはずが、朝、目が覚めるとそらくんの姿はケースの中だった。

うーん、警戒されるのは仕方ないか!と餌皿にご飯を用意して、私は朝の準備を始めた。

簡単に髪のブローをし、化粧、洋服選びにかける時間を割いて、朝食を作って食べる時間を作ればよいのだろうが、少ない朝の時間は女性らしい身なりの方が大事だと誤魔化し、身支度を整える。