あぁ、嫌だな。

こんな風にウジウジしてたって、何も変わらないってわかってるのに…嫌な気持ちがどんどん溢れてくる。


胸が苦しい。

気を抜いたら、一気に涙がこぼれ落ちそうだった。



「……マル。 私、そろそろ教室に戻るね」



笑顔を取り繕い、マルのそばから離れる。


もう少し一緒に居たい。

でも離れよう。

離れた方がいい。

そうしないと、本当に泣いてしまいそうだったから。



「せっかく早く学校に到着してるんだから、マルも遅刻しないように ちゃんと教室に行くんだよ?」

「うん、わかってる」

「じゃあ私、行くね」



マルに背を向けて、ゆっくり歩き出す。

フゥ…と息を吐き、マルから どんどん距離を取る。






「……美麗っ」



その時、マルが私の名前を呼んだ。


何の気なしに振り返る。

そうするとすぐに、マルの笑顔が目に飛び込んできた。



「マジで、サンキューなっ」

「……うん」



満面の笑み。

それを見たら私も自然と笑顔になっていた。

作り笑いじゃなくて、ごくごく自然に…だ。


……変なの。

マルの笑顔を見たら、嫌な気持ちは全部どこかに吹っ飛んじゃったや。