真剣な瞳が、真っ直ぐに私を捉える。
「目立つような場所じゃなければ、俺と一緒でも平気?」
「えっ…と……うん、大丈夫。 今とか凄く楽しいし」
外で話しかけられるのは目立つから嫌だけど、人の居ないところなら大丈夫。
家で話してた時、自然に会話出来ていたのがその証拠だ。
「よかった、安心したよ。 ……さっき、俺と一緒に行動すること自体が嫌だって言っただろ?」
「え? うん、言ったけど……」
「実はそれ聞いてちょっとヘコんでたんだ。 どんだけ俺のこと嫌いなんだよーって思ってさ」
時雨くんは、苦笑いのあとに微笑んだ。
とても優しく…本当に安心したように。
「俺自身が嫌われてたら どうしようもないけど、そうじゃないのなら これから先も一緒に居られるだろ?」
「ん……時雨くんが無茶なことを言ったりやったりしなければね」
「うん、だからもう迷惑はかけない。 嫌われることはしないって決めたんだ」
1歩後ろに下がった時雨くんがチラリと階段の方を見る。
ようやく和真と伊勢谷くんが階段のところまでやって来たらしい。