「あの……どうやって砂浜に……?」

「あっちに階段があるんだ。 行こう」

「うぅ…遠い……しんどい……」


「……ったく、お前どんだけ体力ないんだよ」

「だって…休みの日は基本 家に引きこもってるし……」



こんなにアクティブに動くなんて本当に久しぶりだ。

……正直、全力疾走はもう2度としたくないけどね……。



「お前さ、もっと外に出ろよ? じゃなきゃ何も見つけらんねぇじゃん。 つーことで、来週も俺と出かけよう。 森林公園に行って1日中歩こうぜ」

「えぇ……普通に嫌なんですけど……」

「なんでだよ、メチャクチャ楽しいじゃん。 草とか花とか、写真撮り放題だぞ?」


「それを楽しいと思うのは、時雨くんと和真くらいだよ……」



ハァ……と大きく息を吐き出す。

乱れていた呼吸も なんとか落ち着いてきた。

それでも、階段を上るのはやっぱりキツいけどね……。



「じゃあ、まずは普通に街中をぶらつくのは? 休憩しようと思えば どこでだって休憩出来るだろ?」

「えぇ……街中だったら学校の子たちに見つかるじゃん……」

「別によくね?」


「全っ然よくない。 ていうか時雨くんと一緒に行動すること自体が嫌です」

「うっわ ひでぇ」



時雨くんは苦笑気味に笑いながら、階段を身軽に上り始めた。

私もそれに続く。

私は全然、身軽じゃなかったけどね。