その速さについていくのがやっとで、何度も転びそうになる。
そのたびに時雨くんが心配そうに私を見るけど、相変わらず走るスピードは速いままだ。
「ちょっと…これっ、いつまで続くのっ……?」
いい加減、体力も限界に近い。
草が覆い繁る細い道を、真っ直ぐ真っ直ぐに進んできて……まだまだ真っ直ぐに進んでいく。
後ろに居た和真と伊勢谷くんの姿は、多分もう見えない…と思う。
その確認も出来ないくらいに、私はただただ必死に走り続けていた。
「もう少しっ」
まったく疲れていないらしい、明るい声。
その声を聞いたあと……目の前がパッと開け、ようやく走るのも終わった。
「……ハァ…ハァ…ハァ……」
「この先が砂浜な」
「……そう…なんだ……ハァ…ハァ……」
目の前に見えるのは、高い壁…防波堤だ。
この向こう側に砂浜があるらしい。
それにしても……これって、どうやって上るんだろう……。



