「よっしゃ、じゃあ今から出かけよう。 みぃ、急いで準備してっ」

「……えっ!? 今から出かけるのっ……!?」

「善は急げって言うだろ?」



……急ぎすぎもよくないと思います……。

と言いたかったけど、諦めた。


ノリノリで準備する時雨くんは聞き耳持たずだろうし、どこに向かうか わかっていない和真も、当然のようにノリノリだ。

これはもう、止まらない。


なんとなく事情を把握したらしい伊勢谷くんは同情するように私を見たけど、時雨くんを止めることはしなかった。

というか……伊勢谷くんも「こうなったらもう止まらない」ってわかってるんだと思う。

止めるのは無理。 だから諦めて 突き進んでいく。

それしかないのだ。


馬鹿な弟を持つ私と、超絶馬鹿な親友を持つ伊勢谷くん。

そこはかとない親近感を覚えながら、私と伊勢谷くんはお互いの顔を見ながら苦笑いを浮かべた。