「なっ……急に撮らないでよっ……!!」

「……ははっ、マヌケな顔してやんの」

「消して消してっ」


「思いの外 上手く撮れたから絶対に消さない」

「もうっ……ほんっとやめてーっ……」



カメラを向けられた時、突然のことにビックリして身動き1つ取れなかった。

時雨くんが言った通り……絶対にマヌケな顔をしている。


そんな顔の写真なんて、絶対に残されたくないっ……。



「消去するから携帯貸してっ」

「ちょっ…あぶねぇしっ。 デジカメを振り回すなよっ」

「わっ……!?」



勢いよく手を伸ばすけど、時雨くんはさすがの身のこなしで私を回避した。

……で、かわされた私は その勢いのまま壁に激突。

和真のデジカメは、持っていた手を後ろに反らすことでギリギリ守った。

おかげで顔と上半身が痛い……。



「大丈夫かっ?」

「うぅ……鼻が無くなった……」

「あるから心配するな」


「胸がペタンコに……」

「え? それはまぁ…うん……」

「……ちょっと。 「あるから心配するな」って言ってよ」


「あー……ごめん」



そこで謝られるのは また微妙な雰囲気になるんですが……。

まぁ、元々ペタンコなのは十二分に知ってるからいいけどね。