「ほら。 な?」

「わっ…凄い。 うちの時計じゃないみたい……」



2千円くらいで買った安物の時計が、撮る角度や光りの加減で まるで欧風のおしゃれな家の高級な時計のように見える。



「もう何枚か撮ったら、SNSにアップしてもいい?」

「もちろんっ。 すぐ「いいね」押すねっ」

「ん」



携帯のカメラを構える時雨くんは、とても真剣な顔だ。

さっきまで和真と騒いでた人とはまるで別人のように見える。


……やっぱりカッコイイな。

さすが超絶イケメン。



「ねぇ時雨くん、写真を撮ってる時雨くんを撮ってもいい?」

「……ん? なんで俺を?」

「なんか、真剣な横顔がカッコイイなと思ってさ」


「なんじゃそりゃ。 まぁ別に撮ってもいいけど、代わりに俺もお前を撮るぞ?」

「えっ」



時雨くんと目が合ったと思ったら……、



パシャッ


……その瞬間にシャッター音が鳴り響いた。