誤字や脱字が無いか毎回入念にチェックするし、私の言葉で時雨くんが嫌な気持ちにならないか……と何度も何度も読み返して、やっと返信する。
私と時雨くんは、友達…ではないと思う。
ただ写真の話をするだけの関係。
だからこそ気を遣いまくるのだ。
今もそう。
伊勢谷くんや和真なら気軽に声をかけられるんだろうけど……私は写真を撮ってる時雨くんを、静かに見つめるだけだった。
「みぃ。 ちょっと来て」
「……えっ? ど、どうしたのっ……?」
声をかけられて、体がビクッと反応する。
ていうか今…「みぃ」って呼んだ……?
「これ持ってて」
「あっ…はいっ……」
近くまで行くと、デジカメを手渡された。
その後すぐ、時雨くんは自分の携帯を取り出した。
「んー、やっぱりデジカメは使い慣れてないからムズいな。 こっちの方がやり易い」
カメラを起動し、パパパッと設定を変更していく。
それが終わったと思ったら、すぐにシャッターが切られた。



