伊勢谷くんは、時雨くんを見つめながら微笑んだ。



「正直な話をすると、「唐草 美麗」が和真くんだって知ってホッとしたんだ」

「え?」

「恋は盲目…って言葉を知ってる? 「唐草 美麗」に惚れてた時のマルは、まさにそれ。 無茶苦茶なことなのに平気でやろうとするから実はヒヤヒヤしてたんだ」


「あぁ……確かにそうだったかも……」



自分の顔写真を送って、もっと仲良くなったら会って告白する……とか息巻いてたっけ。

マスク着用ではあったものの、自分の顔写真を他人に送るなんて かなり危険な行為だ。

もしも「唐草 美麗」が和真じゃなかったら、犯罪に巻き込まれてた可能性大だったかもしれない。



「和真が自分の正体を明かした時はどうなるかと思ったけど……これでよかったのかもしれないね」

「うん、俺もそう思う」



クスクスと笑う、私と伊勢谷くん。

とその時、和真が私たちの近くにやって来た。