携帯を両手で握りしめながら、和真は微笑む。



「唐草 美麗は和真という男で、早乙女 美麗とは知り合いでもなんでもない。 そう装っておけばお互い動きやすいだろ?」

「それは……うん……」

「結果的には姉弟だってこともバラしちゃったけど。 でも それはそれでよかったんじゃないかな。 俺 嘘つくの下手だし、嘘に嘘を重ねると大変だし、何より面倒臭いもん」



……確かにその通りなのかもしれないけど、やっぱり一言くらいは相談して欲しかったな……。

まぁ、これで時雨くんの写真に気兼ねなく「いいね」が押せるようになったからいいけどね。



「さーてと、俺たちも帰るかー」

「そだね。 だいぶ暗くなっちゃったし帰ろうか」

「ところで姉ちゃんって円くんのこと好きなの?」


「……はい?」

「なんか さっき微妙にいい雰囲気だったから、好きなのかなぁって思って」

「えーっと……どこがいい雰囲気だったのか全然わかんないけど、別に好きでも嫌いでもないよ」