「辞めるかどうかはアイツ次第だから、俺にはわからないよ」

「……うん……」

「でも写真を撮るのは絶対に辞めないだろうから、心配しなくてもいいんじゃない? たとえ投稿する場所が変わったとしても、アイツはアイツなんだからさ」



……投稿する場所が変わっても、和真は和真…か。


うん、確かにそうだ。

「唐草 美麗」であろうがなかろうが関係ない。

だって和真は和真だから。


私の自慢の弟に、変わりはない。



「……ありがとね、マル」



不安はあるけれど、それでもマルの言葉を聞いて微笑む。

そんな私に、マルもまた微笑みを浮かべて見せた。






──その後、私たちはあまり話はしなかった。

そのまま電車内での1時間半はあっという間に過ぎていき、降りる駅へと到着した。


朝の早い時間と違って、やっぱり人の数が多い。

だから私たちは適度に距離を取って改札へと向かった。

こんなに人が多いのだから、どこかで同級生と会うかもしれない…と考えて。



……ざっと見た感じ、知ってる人は居ない。

だけど私が気づいてないだけかもしれないから、細心の注意を払いながら改札を抜けた。


私とマルは同じ方向に向かって歩いているけれど、20歩ほど距離が開いている。

だから「一緒に出かけてた」なんて気づく人は居ないはずだ。