「和真、そろそろ行くよー。 育美ちゃんが 駅までの抜け道を教えてくれるってー」
「うん、今 行くっ」
姉ちゃんに手を振って応えたあと、もう一度 画面を見る。
そしてゆっくりと、静かに静かに投稿ボタンを押した。
──……その後、俺たち4人は写真の話をしながら駅に向かった。
朝は大通りを歩いてきたけど、今は車も通らないような細い道を通ってる。
他に歩いてる人も居ないから、色々なことを自由に話すことが出来た。
「じゃあ私の家はこっちだからー」
と言った育美ちゃんと駅前で別れ、3人で構内へと入る。
時刻表を見ると……電車が来るまで、あと20分。
今は11時30分。
「先に昼食を済ませておこう」ということになり、ロータリーのベンチに座って それぞれおにぎりやパンを食べることにした。
朝に比べると若干 人は増えたけど、それでもまだ少ない方だ。
俺たちの方を気にしてる人も居ない…と思う。
人前で話すことを嫌がってた姉ちゃんも、今は円くんと普通に笑って喋ってる。
少ないとは言え、近くに何人か居るから……SNSの話は誰も口にしなかった。
「唐草 美麗」という名前は出さないし、SNSを開くこともない。
俺たち3人は、ただ穏やかに“今”という時間を過ごしていた。



