奇跡的にブレはなく、ピントもしっかり合っている。

自分でもビックリするほどの 最高の出来となった1枚だ。



「……周りの目なんか気にせずに、いつでもこうやって笑ってくれりゃいいんだけどな」



一緒に街をブラついたり、ファミレスで向かい合わせに座ってメシを食ったり、公園に行ってのんびり話をしたり。

他の人にとっては「よくある休日」で「何気ない日常」かもしれないけれど……俺と美麗には遠い遠い在り方だ。


周りの目なんてほとんど気にしない俺と、気にしすぎるほどに気にしてる美麗。

この距離は…多分なかなか埋まらない。



「……さて、どうしたもんかな……」



小さく息を吐き出し、再び歩き出す。


……と、その時。

トラの家から二人の男が出てくるのが見えた。

それはもちろん、トラと和真だ。



「あ、円くんっ。 おっかえりー」



俺に気づいた和真が、大きく手を振りながらニコニコと笑う。

トラも俺に手を振って微笑んだ。


二人に近づき、すぐに和真に声をかけた。



「もう帰るのか?」

「ううん、ジュースとお菓子を買いにコンビニに行くところ」

「そっか、じゃあ俺も行く」



そう言いながらカバンをトラに預ける。

それから、持っていた携帯も。