なんて考えてる時に、マルがグーッと背伸びをした。



「……っし、そろそろ帰るか。 さすがにもう昇降口も混んでないだろ」

「そだね。 そういえば……今日トラくんは先に帰ったの?」

「あぁ、和真に会うって言ってたよ。 今日は多分トラん家に居るんじゃないかな。 俺もこのあと行くつもりだけど…お前も来る?」


「ううん、私は遠慮しとくよ。 私の家に二人が来るのは「友達の和真に会うため」って言えるけど、私がトラくんの家に行くのは さすがにちょっとね……」

「だな」



苦笑いを浮かべる私と同じように、マルも苦笑いを浮かべる。

ふとその時、大事な大事なことを思い出した。



「あっ…そういえば私っ、マルにお茶買って返すって言ってたのにすっかり忘れてたっ……!!」

「ん?」

「ほら、朝にペットボトルのお茶をくれたでしょっ? 購買に行くと昇降口は遠くなるから、校門の外に出たら自販機で買うねっ」


「あー、そういや そんなこと言ってたっけ。 別に気にしなくていいよ? ていうか、その分 お前のこと撮らせてくれりゃ満足するし」

「 お 茶 を 買 っ て 返 し ま す っ 」



カメラを構えようとしたマルを、強めの口調で制する。

まったくもう…油断も隙もないなぁ……。