おずおずと問う。
マルは……自分の携帯を近くの机に置いたあと、真っ直ぐに私を見た。
笑顔…ではなく、何故か キリッ としたままだ。
「余裕でオッケー。 1回500円な」
「えっ…お金取るのっ……!?」
「あはは、ごめん冗談だよ。 俺のことは、いつでもどこでも好きなだけ撮っていいよ。 俺だってお前のこと撮るんだから、ダメなわけねぇじゃん」
「あの…上手に撮れなかったらごめんね?」
「そういうのは気にすんな。 好きな時に好きなだけ撮って、いつかは納得の行く1枚が撮れりゃいいんだからさ」
「……うん、ありがとうっ」
ホッと息を吐き出したあと、自分の携帯をカメラモードに切り替える。
画面いっぱいに…マルが映った。
直接 目が合ってるわけじゃないけど、真っ直ぐにこっちを見てるのがわかるから……自然と鼓動が速くなっていく。
「撮らねぇの?」
「と、撮るよっ。 でも心の準備が必要なのっ」
「ははっ。 撮るのも撮られるのも、心の準備なんか要らないっつーの」
「私は要るんですっ」
と言いながら、不意打ちでボタンを押す。
カシャッ
という音が響いたあと、自然な顔で笑ってるマルの写真が 私の携帯に保存された。



