頭の中がゴチャゴチャする。
会えて嬉しいのに、誰かに見られたらと気にして不安になる。
上手く…言葉が出せない……。
「……マル、ごめん私っ…帰るねっ……」
だから結局 私は、マルから離れるという選択をした。
離れていれば…頭の中がゴチャゴチャになる心配はないから。
「一緒に居るところ、誰かに見られたら困るからっ……」
「美麗っ、ちょっと待てっ」
「ごめんっ」
精一杯に言葉を繋ぎ、マルから距離を取る。
だけどすぐに、腕を掴まれて動きを止められた。
「……待てって。 ちゃんと確認してきたから心配いらねーよ」
「えっ……?」
「近くの教室とか廊下とか、俺ら以外にはもう誰も居ない。 だから話そう」
マルは、どこか申し訳なさそうな顔で私を見ている。
そんなマルが次に放ったのは、私に対する謝罪と感謝の言葉だった。
「和真にメールもらって色々聞いた。 電車内での俺の軽率な言動のせいで、面倒なことになってごめん。 それと、俺らの出会い方とか、写真のこととか……黙っててくれてありがとう」



